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2月20日(土)、中東・アラブ首長国連邦のヤス・マリーナ・サーキット(アブダビ)で、2021年アジアン・ル・マン・シリーズ(AsLMS)の最終戦となる第4戦、4時間の決勝レースが現地時間の16時10分~20時10分(日本21時10分~25時10分)に行われました。
第1戦、第2戦、第3戦に続き、#77 D’station RacingのAston Martin Vantage AMR GT3は、WEC世界耐久選手権シリーズへ向けた経験として星野敏選手がスタートドライバーを担当。今回も多くのチームがゴールド/プラチナのドライバーをスタートへ登録し、序盤の上位進出を狙う戦略が目立ちました。
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前日の第3戦と同じく、星野選手の前方にも後方にも世界の有名ワークスドライバー達が並びますが「今回も無理せず自分のスティントを終えるよ」と無線で伝え、12番手より冷静なスタートを切り、ゴールド/プラチナのスタートドライバー達の先行は許すものの、ブロンズ格のドライバーの中では上位を維持したまま混戦を戦っていきます。
しかし、最終戦とだけありライバル勢は激しいバトルを繰り広げ、随所でアクシデントが発生します。特にマリーナ側の11コーナーで起きたフェラーリ同士のアクシデントが大きく、15周目にSC(セーフティーカー)が導入されることになりました。アクシデントによるマシン回収とコース修復に時間が長く掛かり、このSC導入の間を利用して多くのチームは1回目のピットインを行います。
このタイミングではブロンズドライバーの最低乗車規定時間をクリアしていないことから、我々も給油のみを行い星野選手を再びコースへ送り出します。その後もSC導入が続き、レース開始から55分が経過してブロンズドライバーの最低乗車規定時間が消化した、23周目に星野選手は2回目のピットイン。
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給油とタイヤ交換のルーティンピット作業を終えて、第2スティントは藤井誠暢選手が担当します。このタイミングで最低乗車時間の縛りが無いゴールド/プラチナのドライバーを投入するのは第3戦と同じ戦略となります。
第2スティントを担当した藤井選手は、「前日よりマシンバランスは改善されている、まだ基本的にアンダーステアでのロスはあるが、良くなっている」と無線で伝えながら、2分10秒~11秒の安定したアベレージラップを刻みながら走行を続け、32周が消化した55周目に3回目のピットイン。
給油とタイヤ交換のルーティンピット作業を終えて、第3スティントは第3戦でも素晴らしい走りを披露した若手のトム・ギャンブル選手に託します。トム選手がコースへ戻ると順位は11番手。1回目のSC時にゴールド/プラチナのドライバーを起用して、1回目のピットストップでドライバー交代を行ったチームが予想以上に大きくジャンプアップしますが、入賞圏内の可能性は高くトム選手も2分10秒~11秒の安定したアベレージラップを刻みながらプッシュを続けます。
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そして、30周が消化した85周目に4回目のピットインを行います。ただ、チームは既にピット通過義務時間の1分51秒を含む規定ピット作業の3回終えているため、このピット作業時には給油のみを行い、第4スティントもトム選手が連続して走行します。このピット作業時間の短縮戦略により11番手から7番手へと順位を上げることに成功しました。
トム選手はダブルスティントにより摩耗の進むタイヤをマネージメントしながら、2分10秒~11秒のタイムを刻み続けて、レース開始から4時間が経過した現地時間20時10分に104周を終えて7番手でチェッカーフラッグを受けました。第3戦に続き2戦連続の7位入賞でアブダビ戦を終えることができました。
そして、ドバイ・アブダビで2週連続の開催となった2021年アジアン・ル・マン・シリーズの全4戦が幕を閉じました。
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現地での修復が不可能なシャーシクラックの問題を抱えながら、試行錯誤で毎晩対策を重ね続けたD’station Racingのメカニックやエンジニア、そしてアストン・マーティン・レーシングから合流した2名のスタッフを含む、チーム体制で2週間の全4戦を戦いました。
WEC世界耐久選手権やル・マン24時間、ヨーロッパ・ル・マン・シリーズ戦う、このレースフォーマットを知り尽くした強豪チームや、ニュルブルクリンク24時間、スパ24時間、ドバイ24時間の優勝チームが、この19台に集結する中、日本ベースのチームとしての挑戦にはリザルト以上に多くの経験を得ることができました。
この経験を帰国後の国内レースや、今後の海外レースへの挑戦に繋げていくために、チームとしてさらに邁進していきたいと強く感じた2021年アジアン・ル・マン・シリーズへの挑戦となりました。
日本から沢山のご声援を頂き本当にありがとうございました。
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